今から10年も前の2008年、戦前の日本共産党員作家・小林多喜二のプロレタリア文学作品である『蟹工船』がブームになった。
そして、日本共産党や左翼勢力の人気が少し出てきたという。火付け役は、中国共産党である。
その数年前から、戦前の日本の左翼を褒め称えるキャンペーンを開始し、小林多喜二シンポジウムを中国で開催してきた。日本の左翼と連携して、日本の共産化を着々と狙っているのである。
もちろん、日本共産党と左翼の「格差社会」戦略が、一定、功を奏したこともある。蟹工船で働く漁夫や学生の姿は、「貧しい」若者たちの関心を引いた。
しかし、『蟹工船』は邪本である。断固として、批判しなければならない。
特に青少年の道徳への悪影響が著しい。邪本として何とかしなければならない。
『蟹工船』は、共産主義の道徳観そのものである。善も真理も道徳も一切認めない。それらを観念論としてばっさり切り、永遠普遍の価値観など認めない共産主義思想をばらまく。
説くのは、プロレタリアートヒューマニズムのみである。日本語に訳せば「労働者連帯」。
本文より。
「漁夫たちが決起する前に、訴える。諸君、まず第一に、俺達は力を合わせることだ。俺達は何があろうと、仲間を裏切らないことだ。これだけさえ、しっかりつかんでいれば、彼奴等如きをモミつぶすは、虫ケラより容易いことだ。――そんならば、第二は何か。諸君、第二にも力を合わせることだ。落伍者を一人も出さないということだ。一人の裏切り者、一人の寝返りものは……。(「分った、分った」「大丈夫だ」「心配しないで、やってくれ」)……「俺達の交渉が彼奴等をタヽキのめせるか、その職分を完全に尽くせるかどうかは、一に諸君の団結の力に依るのだ」
そして、最後は、「今度こそ。……犠牲者を出さないように全部で、一緒にサボルことだ。……何より力を合わせることだって。それに力を合わせたらどんなことが出来たか、ということも分かっている筈だ」
本の全体を通して描かれている、ある意味で暴力的で堕落的で退廃している蟹工船の様子。その中で、善く生きようという努力もまじめに考えようという努力も何も描かれていない。正義も悪も真理も真実もない。ただ、みんなで団結することのみ強調する。
蟹工船には色々な問題点がある。
ロシア人はみんな日本の蟹工船の漁夫の仲間として描かれているとか、資本主義社会の労働者窮乏化論を押し付けているとか。
しかし、最大の問題、若者への悪影響は、暴力も、道徳的堕落も、人間性の退廃も一切否定しないその手法である。まさに、『蟹工船』が邪本と言われる理由である。
実際、現実の日本の若者の職場で同じような考え方がある。特にアルバイトの職場でそうだ。会社の言うことを一切聞かない。会社の指示を一切守らない。やりたい放題やる。そして、上司の悪口ばかり言う。何の反省もない。自分たちが貧しいのは全て会社や世の中が悪い。そして最大にして唯一の決まりは、仲間を裏切らないこと。こんな連中が『蟹工船』を読めば、すぐに共産党に投票するだろう。
共産主義の権化である『蟹工船』を徹底的に批判し、日本の若者を救い、道義国家日本を再興しなければならない。
JAPAN Guardians 代表 安東幹