今般の二つの選挙について

 

小林 宏晨(日本大学名誉教授)

 

 レーニンを中心とした共産主義エリート集団が1917年、ロシア革命に成功して以来、1991年、ソ連が崩壊するまでの74年間に共産主義陣営の理論的・イデオロギー的支柱は「マルクス・レーニン主義」であった。

 

 マルクス・レーニン主義の名の下で1億人を上回る人命が失われた

 ソ連崩壊後に、そのイデオロギーを大幅に継承した国は、特異な中国であった。「特異な」という意味は、中国が経済体制として、ある種の「市場経済体制」を採用するが、政治体制としては「一党独裁体制」を採っている事実にある。

 

 しかも中国では、あくまでも政治が「主」で、経済は「従」である。この事実は、中国の日常的対外政策の随所に見られる。その用例としては、「対日暴動」の操作・対日レアアースの輸出制限等々に見られる。政治領域で「一党独裁体制」を採用している唯一の大国・中国は、現在も依然としてそのイデオロギー基盤をマルクス・レーニン主義に置く。

 

 さらに共産主義イデオロギーなる「マルクス・レーニン主義」は、共産主義陣営と自由主義陣営間の「平和共存」を提唱する。両陣営間の戦争を回避する賢明な方式であると説明されている。

 

 ところが、この方式には自由主義陣営内における共産党を中心とする「統一戦線」による「階級闘争」が含まれている。つまり国家間の「平和共存」は、社会における「階級闘争」と不可分に結びついているのだ。この関係が忘れられてはならない。

 

 さて、今般の二つの選挙(統一地方選挙、参議院選挙)についてであるが、そこでは、日本が置かれている地理的環境に目が向けられなければならない。日本は、「一党独裁国家・中国」、「全体主義独裁国家・北朝鮮」、未だ法治国家のレベルに達していない韓国、そして力による現状変更も良しとするロシアに取り囲まれている。従って、日本の選挙民は、国政選挙であれ、統一地方選挙であれ、日本と世界の安全の維持を「第一の優先課題」として投票すべきである。

 

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